闘志養成練習曲
2008.06.30 Monday 22:31 | ピアノ全般
1月にうつ病の診断を受けてもうすぐ半年ですが、一番困ってしまうのは「何が何でも!」という闘志が沸いてこなくなってしまった事。
以前バッハの二声インヴェンション第2番(この曲は二声インヴェンションの中でも一際高い関門です)に挑んだ時は、あまりの難易度の高さに、日曜にぶっ続けこの曲だけ6時間練習するという事をしたんですが、今はとてもそんな事はできません。
以前バッハの二声インヴェンション第2番(この曲は二声インヴェンションの中でも一際高い関門です)に挑んだ時は、あまりの難易度の高さに、日曜にぶっ続けこの曲だけ6時間練習するという事をしたんですが、今はとてもそんな事はできません。
特にバッハの平均律ももちろんなんですが、私が思うに、ショパンのエチュードってのは「闘志」がないと弾けない曲なんじゃないかと思います。闘志養成練習曲(笑)。ショパンのエチュードは、一見派手なテクニックばかりが目に付きがちですが、その実、ピアノ弾きとして必要不可欠な、「難曲に立ち向かう闘志」を養うための曲なんじゃないかな、なんて思っています。
じゃあリストはどうなのか、という話になりますが、そう言った精神性と言いますか、「指が高速で回る」以上のプラスアルファは、リストの曲には非常に希薄です。管弦楽曲や交響曲にも名作を遺した作曲家の中では、メンデルスゾーンも大変精神性が希薄ですが(メンデは、恵まれたお坊ちゃんで、苦労知らずの人生を送ってるから、当然とも言える)、メンデは逆に恵まれた境遇に由来する幸福性がその音楽を豊かに彩っているのに対し(だから、「感動して泣ける」というようなタイプの作品はないように思う)、リストはただひたすら「腕自慢」でしかないんですよね(苦笑)。
ここからは大変な暴言になる事をお許しいただきたいのですが、一般に非常に人気の高いリストの「愛の夢 第3番」。この曲は、難易度からすれば凄く難しいという訳ではないのですが(それでも、簡単に弾ける曲ではありません)、あの曲も、言ってみれば「女たらしの男が、ナンパの時にささやく甘い言葉」的な、男からみたら虫酸が走りそうな甘ったるさを持った曲です。作家で例えれば、渡辺淳一とか、谷崎潤一郎の作品ですね。
まあ、リスト本人の人生を眺めてみれば「愛に絶望して人知れず涙を流す」なんて曲が書けるはずもないのですが、それにしてもこの曲は、ショパンの「幻想即興曲」以上に、絶対に私が弾く事はありえない曲です。
話を戻しましょう。ショパンの作品も、もちろん高いテクニックが必要ですが、それ以上に不屈の闘志が必要だと思うし、またショパン自身も不屈の闘志を持っていた人だったのではないでしょうか。遺されたエピソードを読むと、一見優男風のショパンですが、実はもの凄く熱い物を秘めた男だったんじゃないかと、彼の作品を見て勝手に思っています。
なので、リストの作品でミスタッチだらけだったりすると、とても音楽としては聴けたものじゃなくなるのに対し(もっとも、リストの作品はそもそも音楽としてはあまり聴けない作品ばかりだが)、ショパンでミスタッチを少々やらかそうが、弾く側の魂さえこもっていれば、決して音楽が壊れません。コルトーの弾いた、ミスタッチだらけの「木枯らしのエチュード」を聴くと、そんな事すら思います。
むしろ、ショパンの音楽は、テクニックがどんなに優れていても、沸き上がる闘志がないと、画竜点睛を欠くと言っても差し支えないと思います。事実、私の所有するCDの中では、恐らくは燃える闘志を持って臨んだと思われる、ルービンシュタインの「モスクワリサイタル」で演奏された「英雄ポロネーズ」の凄まじく感動的な事! 単に指が回り、綺麗な音を鳴らせるテクニックだけで、こんなに人は感動しうるものでしょうか? そんな事はないと思います。
この「人を感動させうる、熱く強い闘志」が、ショパンの音楽の肝なのではないかと、ショパンが決して好きという訳ではない私は、最近思っています。クールに弾いたところで、ショパンの音楽は決して訴えかけてきません(だからと言って、自分に酔ってテキトーにテンポルバートすりゃいいってもんじゃないのも、また当然ですが(笑))。
女性に大変人気の高い作曲家であるショパン。実は、非常に男性的なところも多くもっている作曲家なんじゃないかと感じる事も多い、今日この頃です。
なかなかピアノに対する闘志が沸いて来ず、クラシックではモーツァルトやベートーヴェンという、そもそも好きな音楽ばかり弾く事も多い私ですが、ショパンのエチュードが「どうした、楽をするな。私に全力で向かって来い!」と言っています。
明日こそは、もっと燃える闘志でショパンのエチュードにぶつかっていければいいんですが。
じゃあリストはどうなのか、という話になりますが、そう言った精神性と言いますか、「指が高速で回る」以上のプラスアルファは、リストの曲には非常に希薄です。管弦楽曲や交響曲にも名作を遺した作曲家の中では、メンデルスゾーンも大変精神性が希薄ですが(メンデは、恵まれたお坊ちゃんで、苦労知らずの人生を送ってるから、当然とも言える)、メンデは逆に恵まれた境遇に由来する幸福性がその音楽を豊かに彩っているのに対し(だから、「感動して泣ける」というようなタイプの作品はないように思う)、リストはただひたすら「腕自慢」でしかないんですよね(苦笑)。
ここからは大変な暴言になる事をお許しいただきたいのですが、一般に非常に人気の高いリストの「愛の夢 第3番」。この曲は、難易度からすれば凄く難しいという訳ではないのですが(それでも、簡単に弾ける曲ではありません)、あの曲も、言ってみれば「女たらしの男が、ナンパの時にささやく甘い言葉」的な、男からみたら虫酸が走りそうな甘ったるさを持った曲です。作家で例えれば、渡辺淳一とか、谷崎潤一郎の作品ですね。
まあ、リスト本人の人生を眺めてみれば「愛に絶望して人知れず涙を流す」なんて曲が書けるはずもないのですが、それにしてもこの曲は、ショパンの「幻想即興曲」以上に、絶対に私が弾く事はありえない曲です。
話を戻しましょう。ショパンの作品も、もちろん高いテクニックが必要ですが、それ以上に不屈の闘志が必要だと思うし、またショパン自身も不屈の闘志を持っていた人だったのではないでしょうか。遺されたエピソードを読むと、一見優男風のショパンですが、実はもの凄く熱い物を秘めた男だったんじゃないかと、彼の作品を見て勝手に思っています。
なので、リストの作品でミスタッチだらけだったりすると、とても音楽としては聴けたものじゃなくなるのに対し(もっとも、リストの作品はそもそも音楽としてはあまり聴けない作品ばかりだが)、ショパンでミスタッチを少々やらかそうが、弾く側の魂さえこもっていれば、決して音楽が壊れません。コルトーの弾いた、ミスタッチだらけの「木枯らしのエチュード」を聴くと、そんな事すら思います。
むしろ、ショパンの音楽は、テクニックがどんなに優れていても、沸き上がる闘志がないと、画竜点睛を欠くと言っても差し支えないと思います。事実、私の所有するCDの中では、恐らくは燃える闘志を持って臨んだと思われる、ルービンシュタインの「モスクワリサイタル」で演奏された「英雄ポロネーズ」の凄まじく感動的な事! 単に指が回り、綺麗な音を鳴らせるテクニックだけで、こんなに人は感動しうるものでしょうか? そんな事はないと思います。
この「人を感動させうる、熱く強い闘志」が、ショパンの音楽の肝なのではないかと、ショパンが決して好きという訳ではない私は、最近思っています。クールに弾いたところで、ショパンの音楽は決して訴えかけてきません(だからと言って、自分に酔ってテキトーにテンポルバートすりゃいいってもんじゃないのも、また当然ですが(笑))。
女性に大変人気の高い作曲家であるショパン。実は、非常に男性的なところも多くもっている作曲家なんじゃないかと感じる事も多い、今日この頃です。
なかなかピアノに対する闘志が沸いて来ず、クラシックではモーツァルトやベートーヴェンという、そもそも好きな音楽ばかり弾く事も多い私ですが、ショパンのエチュードが「どうした、楽をするな。私に全力で向かって来い!」と言っています。
明日こそは、もっと燃える闘志でショパンのエチュードにぶつかっていければいいんですが。
Comments
とても興味深いトピ(考察)です。
リスト「愛の夢」を渡辺淳一&谷崎にとらえるあたり、膝うちもの(笑 渡辺淳一、苦手です...!)、さすがです!
ショパンのエチュード、闘志を育てるという考察、なるほどです。リストの練習曲等もまさにそうなんでしょうが、確かにミスだらけのたとえば「マゼッパ」なんて、聞けたものじゃないでしょうねぇ。ただの騒音でしかない。
確かにショパンの曲は熱い魂がないと伝える事ができないと思います。バラード4番を技巧だけで弾いても、一切伝わってくるものはないでしょうねぇ。
エチュードがんばってください☆
ショパンのエチュード…私の場合は、楽譜を見ただけで、
闘志が萎えてしまいそうです(苦笑)。軟弱者なので…
チャイさんのいう、「熱い魂」私にはないみたい(^_^;)
一方、リスト…聴くことが少ないです。ピアノ曲で、
強く惹かれるのは、ベートーヴェン、モーツァルト、
チャイコフスキー、ムソルグスキーといったところ
でしょうか。やはり、《展覧会の絵》が大好きなので
しょうね。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
リストの「愛の夢第3番」が好きな方には申し訳ない表現ですが、
私としては当を得ているのではないかと(笑)。
ショパンやリストに関しては、私はこんな事を言った事もあります。
「私にとってピアニストとは、ベートーヴェン及びモーツァルトを
素晴らしく弾ける人の事です」
「じゃ、ショパンを素晴らしく弾ける人は?」
「それは、『ショパン弾き』と言って、ピアニストとは別の人種です」
「じゃ、リストを素晴らしく弾ける人は?」
「それは、『曲芸師』と言って、音楽家とは別の人種です」
我ながら、酷い事言ってます(爆)。
>>岩崎さん
ショパンのエチュードには、私も闘志が萎えまくりですので、
ご安心を(笑)。
ムソルグスキーの「展覧会の絵」は、ラヴェル編曲の管弦楽版の
方が有名になってしまいましたが、ピアノ版にも捨て難い魅力が
ありますね。
>我ながら、酷い事言ってます(爆)
「それでは、ラヴェルを素晴らしく弾ける人は? ドビュッシーを素晴らしく弾ける人は? はたまた、バルトークを素晴らしく弾ける人は?」と問いかけたら?
面白い答えを期待しています(苦笑)。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
ベートーヴェンとモーツァルトが、ピアノ弾きとして基本で、
ショパンを弾くのには、そのどちらにもない感性が必要という
意味で書いてみましたが(それにしても、リストには容赦ない私)、
ドビュッシーを上手に弾ける人は「ピアノのパティシエ」、
ラヴェルを上手に弾ける人は「ピアノのガラス職人」
という辺りでいかがでしょうか。
例によって、何の根拠もありません(笑)。
なお、バルトークのピアノ作品は全く聴いた事がないです。
すみません。
バルトークですが、3年前にDGから出たブーレーズさんのCDが、ピアノ協奏曲の全3曲を収めておりますので、よろしければ、どうぞ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1665752
よろしくお願いいたします。
CDご紹介ありがとうございます。バルトークというと、「弦チェレ」
「オケコン」くらいしか聴いていなかった私ですが、その作風に少しでも
親しめればと思います。
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