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ブラインド奏法の効能

2008.09.08 Monday 20:41 | ピアノ全般

昨日から、しばらく休んでいた基礎練習を復活させました。と言っても、ハノン39番のスケール全調だけは、1日も休まず続けていますけど。

今回再び取り組む事にした基礎練習は、ピシュナ(リトルではない方)の1番〜5番です。中級者以上が使える基礎練習用の教本としては、ピシュナ、ブラームス、コルトーなどがありますが、いずれも試してみた結果、ピシュナが最も練習時間と効果のバランスが取れているように思います。少なくとも(音大を目指したりする訳ではない)社会人のピアノ弾きならば、ベストと言えるのではないでしょうか。
これに対し、ブラームスは難易度がとてつもなく高い曲も多く、コルトーは良く出来た本ですが相当時間がかかります。ピシュナの1番から5番までを毎日弾くだけでも、私はかなりの効果が見込めるのではないかと思っています(ただピシュナの後半は、「これなら他の練習してた方がいいのでは」と思える曲もあったり)。

という事で、基礎練習としてピシュナ1番〜5番及び、ハノン39番のスケール全調を基礎練習として弾いていますが、先日の記事で書いたように、新しい試みとしてこの全てをブラインド状態で弾いています。ピシュナの1番を始めて、ハノン39番のホ短調のスケールが終わるまで、一度も目を開けずに弾くのです。

やってみれば分かりますが、これはなかなか大変な作業です。半音ずつ上がって行くピシュナはまだそうでもないですが、スケールのラストのカデンツは、しょっちゅう音を外します(2年以上も毎日弾いてるのに)。それでも、しばらく弾いているとそれなりに慣れて来ますけど。

この「ブラインド奏法」のコツは、正確に鍵盤をイメージする事と、力を無駄遣いしない事でしょうね。

そして、ブラインド奏法にどんなメリットがあるのか、自分なりに考えてみました。

■1.脱力のために良い訓練になる
先日の記事に対し、herbertさんがつけてくださったコメントは正に当を得ていると思います。つまり、目で見て、指の動きの誤差を修正できませんので、最初から最小の動きで、最も効率よく力を使わないと、まずブラインド演奏なんて出来た物ではありません。

特に、「跳躍」「移動」に威力を発揮すると思われます。

■2.初見のために良い訓練になる
初見演奏をする場合、ピアノを弾くために生まれてきたような天才は別として、普通の人ならば「楽譜を見て、音符を読む」「該当する鍵盤を見つける」の2段階に分かれるでしょう。「つっかえて全然スムーズに弾けない」なら前者に問題があり、「音を外しまくる」なら後者に問題があるはずです。

そして、「楽譜を見て、音符を読む」訓練ならば、バッハのインヴェンションや平均律が最適です。しかし、楽譜だけ読めても、該当する鍵盤にすぐに指が行かないと無意味です。「十二度下」である事は分かっても、十二度下に正確に(できれば手元を見ずに)移動できなくては、あまり役に立ちません。結局手元を見なければ弾けないのでは、覚えないと弾けないという事になってしまいますから。

この為の練習として「ブラインド奏法」が効果を発揮しそうな、そんな予感がしています。事実、今日ピシュナとスケールをブラインド演奏してみただけで、ショパンのエチュードが少し弾きやすくなった気がしていますから。

まあ、ショパンのエチュードop.10-8の前半はもう暗譜してしまってますけど、暗譜している曲でも、鍵盤の感覚を正確に掴めばよりスムーズに弾けるのではないでしょうか。

■3.暗譜のために良い訓練になる
「ブラインド奏法」で弾く場合、ただ何となく指の動きだけで覚えていては、なかなか上手くは行きません。弾く時に、頭の中に鍵盤の状態をイメージし、そのイメージ通りに弾く事が必要となりそうです。

私は「頭の中で何かをイメージする」という事がとても苦手で、何度も書いている通り暗譜がはっきり言って得意ではないのですが、ブラインド奏法だと、スケールを弾いていてもかなり頭の中でイメージさせられます。イメージトレーニングとしても有効なんじゃないでしょうか。

もしかして、この「目隠しをして(or目をつぶって)弾く」というのは、練習方法としては極めて一般的だったりして(汗)。もしそうなら自分の無知を恥じるばかりですが、この練習法を試した事のない方、私も3日目にして効果を少し実感できている気がするので、宜しかったらお試しください。
author : NaGISA | comments (6) | trackbacks (1)

Comments

黄昏のバッハ弾き | 2008/09/09 09:43 AM
私の場合、ブラインド奏法は練習法としてではなく、どの曲も必ず「目をつぶって弾ける」のを以って一曲の完成としています。
特に発表会では練習時の7割くらいしか実力を発揮できないので、目をつぶって弾ける程に完成度を上げないとだめでした。

私は読譜がネックです。
脳が日本語や英語を読むように楽譜を読めません。
慣れだ、と言われるけれど。。。脳の問題だと思います。
皆さんの奏法それぞれがすなわち脳そのものなのですね。
興味深いです。

バッハを目をつぶって弾いていると・・・弾いている自分の存在すら希薄になり・・・どこかで音が鳴っている中、18世紀のヨーロッパのヴィジョンが流れ、そしてその先にいるバッハに抱かれ、愛されている、と感じる至福の瞬間があります。
バッハは純粋にピアニストのための曲ですね。

コンテクストずれました?ごめんなさい。
チャイ | 2008/09/09 01:58 PM
NaGISAさん、ご無沙汰です ^^
ずっとロムしていましたが、日々の基礎練習メニュー復活との事、これは体調の方も相当良くなられた証、喜ばしい兆しとばかり、つい出てまいりました。

ブラインド奏法、すごいですねぇ。ハノン39番スケール通しで、ですか (汗・汗)!
十分本格的ですよ。ちなみにスケールはハーモニック、メロディック両方共、弾かにれるのですよね。全部弾くとけっこうありますよねぇ。”毎日”と聞いて、Nagisaさんもがんばっているし、私も今日から始めて見ることにしました。
私の方もお師匠さんがみつかり、レッスンもスタートする事に決まったのでNaGISAさんおすすめのPTNAも取り入れてがんばろうと思っています。
とりあえず、今はバッハの『イタリアンコンチェルト1楽章』に手を染め始めたところ、といっても高校生の時に弾いた曲なのでリベンジみたいなものですが、それでも焼き直しするにしても実に難しい・・・

引き続きブログは楽しみにしていますね。
(悲愴物語も。早く続きを!)

そうそう、最近ベトネタがないのですが、そちらの方もまたNaGISA節で聞かせてもらえるのを楽しみにしていますよ。
NaGISA | 2008/09/09 09:55 PM
>>黄昏のバッハ弾きさん
ブラインド奏法ができるまでに仕上げるとは凄いです。私は、何度も
ステージで弾いた「悲愴」ですら、怪しいかも(汗)。でも、確かに
バッハの音楽は、ブラインド状態で練習を重ねると、仕上がりが良く
なりそうな気がしますね。

読譜は私も苦手です。暗譜も苦手なので、良いとこなしという話も
あります(笑)。

>そしてその先にいるバッハに抱かれ、愛されている、
>と感じる至福の瞬間があります。
素敵な表現ですね。私は、バッハの音楽は「声楽のように」弾きたいと
思っています。理屈っぽい音楽のように思われているバッハですが、
彼の鍵盤楽器の作品を聴いていたり弾いていたりしていると、しばしば
そこから人間の声のような響きが聴こえて来る気がします。

実はバッハの鍵盤楽器の音楽って、案外人間的な音楽なのかも
知れない、などと思っています。
NaGISA | 2008/09/09 09:58 PM
>>チャイさん
体調は大分良い感じです。ご心配ありがとうございます。

スケールは、長調を2回弾いて、短調はそれぞれ1回ずつ弾いてます。
レッスンがスタートする事になったとは、何よりですね。きっとより
日々充実した生活になる事でしょう。イタリア協奏曲は私も好きな
曲で、いずれ挑戦してみたい気もしますが、平均律のフーガでへろへろに
なっている私には、いささか厳しいかも知れません(汗)。

ベートーヴェンネタは書きたいんですが、何せ最近弾いてる曲が
ショパンばかりですので(笑)。また何かネタを見つけて書いて
みたいと思います。
黄昏のバッハ弾き | 2008/09/11 06:37 PM
NaGISAさんのピアノは「声」が聴こえるんですね。@@

私は仕事も含めて^^;毎週何かしらクラッシック・コンサートに行っていますが、「声」の聴こえてきたアーティストは、vln.の古澤 巌さんとドイツ人p.のシュテファン・ヴラダー、ただ2人だけです。

古澤 巌さんのvlnは、わずか2mの距離で聴く役得に恵まれたせいもあるかもしれません。
空気が揺れ、天上に層になった光がたなびき、天使?の声につつまれて・・・まさに別世界へ誘われました。
圧巻はツゴイネルで、「ドドドド・・・」という地響き(スプラッター現象か?と思うほど。ちなみに私オカルト系じゃないですよ^^)とともにジプシーのダンスと、それを見てざわめいている群衆が見え、強烈な振動で立っていられなくなり、ステージの壁に寄り掛かって仕事してました。
「ああ、この人は楽聖なんだ!!」と。涙が止まりませんでした。

シュテファン・ヴラダーのベトベンからも「声」が唸るように聴こえてきました。
自分のからだの細胞すべてに共鳴しているかのように。

NaGISAさんは本物のピアノ弾きだと思います。
NaGISA | 2008/09/12 09:17 PM
>>黄昏のバッハ弾きさん
いえいえ、私のピアノから声が聴こえるという訳じゃないですよ。
そんな上等なピアノ弾きではありません(笑)。

ただ、そうありたいなとは思っています。やはり究極の楽器は人間の
声だと思いますので、声が聴こえてくるようなピアノが弾けたら
どんなに素晴らしいだろうな、と。

精進あるのみです。

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ブラインド奏法の3つの効用 | ハーバートの音楽行動録 | 2008/09/14 09:33 PM
「NAGISAカンタービレ」というピアノ練習ブログがある。このブログは私がピアノを再開する直接のきっかけとなり、私がベヒシュタインに興味を...